「髪は心とつながっている」
それは僕がお客様の髪を施術するとき
常に心に置いている言葉です。
髪が伸びきっていたり
傷んでいてまとまらない時は
心も同じように落ち着かなかったり
なんとなく自信が持てなかったりと
髪と心は不思議と
同じ表情を見せるように感じます。
髪を整えることは、単に見た目を変えるだけではありません。
髪を通して心の在り方を整え
自分らしく日常を過ごせるようにすること。
だからこそ僕は
目の前のお客様の髪に触れるとき、
『その方の心にも触れている』という意識を
何よりも大切にしています。
髪を通じてお客様の人生という物語に
決して小さくない価値をお届けしていく。
この思いを胸に、
日々お客様を担当させていただいています。

萩原 和也 美容師歴25年
髪を整えることは、心を整えること。
お客様が自分らしくいられるように、
日常に少しの自信と心地よさを届けたいと
サロンワークに従事する。
前勤務サロンでは店長を務め、カット講師の責任者を任される。
その後独立し成田市美郷台で美容室を経営。
国内最高峰のアカデミーで、カットの理論と法則に裏付けされた技術を習得。
本格派美容師として多くの顧客からの信頼を集めている。
長かったアシスタント時代が終わり、やっと目指していたスタイリストデビューを果たした頃、初めて自分の手でお客様をきれいにできることが嬉しくて、毎日が新鮮だった。
でも、現実はそう甘くはなかった。
カットの技術がまだ追いつかず、思うように似合うヘアスタイルが作れなかった。
鏡越しに映るお客様の表情から、どこか納得してないことが伝わってくる。
でもどう手直しすればいいのかわからない。
加えて自分はもともと口下手で、接客もうまくできなかった。
話すことが得意ではないため、お客様との距離感もうまく掴めず、どんどんネガティブな気持ちになっていった。
そんな中で、同期が次々と指名を増やしていく。
焦りと悔しさで、自分なんか美容師に向いてないんじゃないかとさえ思うようになっていった。
それでも「上手くなりたい」「お客様に喜んでもらいたい」という想いだけは消えることはなかった。
そんなある日、ふと美容師向けの雑誌に載っていたカットアカデミーの記事を見つける。
「カットの理論と法則を修得する」「フォルムを自在にコントロールする似合わせカット」
胸の中が熱くなっていく感覚を覚えた。
これだ。
だが、受講費は高額。そんなお金はもちろん持っていない。
でもここで止まるわけにはいかなかった。
隣にあるコンビニのATMの前に立ち、キャッシングのボタンを押す。
「必ず上手くなって見返してやる」
「話すことが得意ではないなら、ハサミで自分の想いを伝えよう」
あの瞬間の、怒りに似た悔しさと決意こそが、今の自分を支える原点だ。
カットに全てをかけた。
カウンセリングについて-伝わる
僕がヘアデザインをつくる上で最も大切にしているのは、お客様を一目見た時の印象です。
お店に入ってきた時の立ち姿、歩き方、座り方、目線、表情、声のトーン。
そうした所作や空気感の中に、その方の”らしさ”がすでに表れています。
カウンセリングでは、まず「何かご希望はございますか?」と伺いますが、
その時点で僕の中にはすでに似合うシルエットの方向性が浮かんでいます。
お客様からは、長さや気になる部分などを簡単にお伝えいただければ大丈夫です。
その上でご希望を踏まえてお客様に合ったヘアスタイルを提案させていただきます。
なのでカウンセリングの時間は決して長くはありませんが、お任せいただければ家族や同僚、友人などから
「なんか髪型いい感じだね」
と自然に言ってもらえる仕上がりにいたします。
カットについて-本質
基本的には乾いている状態でのドライカットをします。
ご来店いただいたそのままの状態で、髪を濡らさずにそのままカットを始めます。
濡らしてカットした方が切りやすい面もありますが、濡れることで髪本来のクセ・生えぐせ・ボリュームの出方が見えにくくなってしまいます。
ドライの状態で、髪の動き・跳ねやすい部分・膨らみやすいポイントを確認しながら、
日常での再現性と似合うフォルムを意識してカットしていきます。
まずはベースカット。
ヘアスタイルの骨格となるシルエットを作っていきます。
どこで長さを設定するか、ウェイトをどの位置に置くか、毛先にどれだけ厚みを残すか、レイヤーをどの程度入れて軽さを出すか-。
このベースカットの段階で、仕上がりのイメージにどこまで近づけられるかが非常に重要です。
多くの場合「少し重いけど、あとで梳けばいいか」となりがちですが、僕は梳くという工程はなるべく最小限に抑えるべきだと考えています。
確かに今のトレンドでは、たくさん梳いて軽さを出すデザインも多いですが、本来ベースカットで取りきれるはずの重さや厚みを梳きで処理してしまうと、いくつかのエラーが生じます。
・スタイルの持ちが悪くなる
・クセが出やすくなる
・艶がなくなる
このような現象を防ぐためにも、ベースカットの精度こそがスタイルの質を決めると言っても過言ではありません。
次にセニングカット(毛量調整・質感調整)に入っていきます。
単に量を減らすのではなく、シルエットに立体感・奥行き感を生むためにハサミを入れるポイントを見極めていく。
このセニングをセニングシザー(梳きバサミ)で行うのか、通常のシザーで行うのかでも仕上がりの印象は大きく変わります。
両方の特性を理解した上で使い分けますが、僕の場合はほとんど通常のシザーで質感をコントロールしています。
梳きバサミも使いますが、あくまでスタイルや狙いに応じて限定的に使用します。
なぜなら梳きバサミだけで量の調整をしてしまうと、量は減っても質感が無くなってしまうからです。
均等に細かく梳かれることによって艶が失われ、束感も出づらくなります。
この束感こそがデザインの鍵。
束感があることで、艶を残しながら軽さを表現できる。
さらにそれがスタイルの持ちを良くし、髪が伸びてもまとまるので朝の手入れが楽になります。
均等に細かく梳くのではなく、シザーで間引くように量と質感を調整する。
そのため、短くなった髪までもが束となって動き、髪が伸びてきてもクセが出にくく、自然にまとまります。
シザーでの質感コントロールにこだわりを持って“ただ量を減らす作業”ではなく、“シルエットに表情をつくる技術”としてカットしています。
カラーについて-色・質感と手触り
明るくする、白髪を染める、白髪をぼかす。
それは当然のことで、僕が目指すのはそれ以上に“価値と意味”を込めたカラー。
カラー剤を塗布すると、まずキューティクルが開き、
髪の内部のメラニン色素が分解され、そこへ新しい色素が定着していく。
その髪の中に色が入る過程でツヤを出したり、ハリ・コシが出る成分を配合して一緒に定着させる。
単に色を入れるだけでなく、
髪そのものを整えながら、髪をデザインする。
「染める」は作業ではなく、「育てる」技術。
それが、僕の考えるカラーです。